今回は2021年最後の配信ということで、この1年を簡単に振り返ってみたい。
2021年のロレックス市場を漢字二文字で表すとしたら「爆騰」という表現がぴったりなのではないか。それほど多くのモデルがこの1年間で、かつて見たことのないレベルで実勢価格が高騰した。そんななか筆者が最も印象的だったのが次の三つだ。
1、1年間で150万円以上も値上がりしたデイトナ
2、世界的ターコイズブルー人気でオイパペが200万円超え
3、白文字盤人気で旧型ミルガウスが現行品以上に高騰
デイトナ Ref.116500LN
12月初旬に配信した同連載123回では「最も高騰したモデルランキング2」というテーマで、1年間の値上がり幅が尋常でないことを示した。なかでもデイトナはその記事を掲載した後になってもさらに上がり、結果的に1年間で150万円以上もの値上がり幅になった。そしていまや500万円を超えそうな勢いだ。
また、デイトナについてはもうひとつ急激に高騰しているモデルがある。それはゴールドケースにラバーベルト(正式にはオイスターフレックスブレスレット)を組み合わせたRef.116515LNだ。最近3カ月で100万円以上も値上がりし、1年間でみると300万円弱上がったことになる。
オイスターパーペチュアル Ref.124300
2番目のオイパペことオイスターパーペチュアルは、2020年のモデルチェンジで採用されたパステル調のカラーダイアルが海外でブレイク。その需要増から買えない状況が続いたため実勢価格がものすごい勢いで高騰した。いちばん人気の高いターコイズブルーで、しかも新たに加わった41mm径のRef.124300に至っては65万3400円の国内定価に対して実勢価格は230〜250万円と4倍近い。おそらくはスポーツ系も含めてレギュラーラインのなかで、世界的にいま一番に手に入りにくい存在と言えるのかもしれない。
しかも、このターコイズブルーは高い人気ゆえに、比較的に低価格帯の海外ブランドが相次いで同系色を採用するなど、いまではちょっとしたブームとなっている。
ミルガウス Ref.116400
そして3番目のミルガウスについては前回のロレックス通信(125回)でも取り上げているが、デイトナの白文字盤タイプの異常人気から、白文字盤自体が再注目された。しかしロレックスにはスポーツ系、なかでもベーシックタイプだと圧倒的に黒が多く白文字盤を採用したモデルはごく限られる。そのためエクスプローラー II とすでに生産終了しているミルガウスの白文字盤に注目が集まったというわけだ。
特に高騰しているのがミルガウスで、すでに生産終了しているRef.116400だ。2種類あるうちのひとつ白文字盤(2016年に生産終了)タイプは、以前まったく人気のなかったモデルなのだが現在中古で180〜200万円強と現行モデルの新品よりもかなり高い。2022年のモデルチェンジでその去就が注目されていることもあって、その動きにさらに拍車がかかったということだろう。
そしてもうひとつ挙げておきたい。それはこのロレックス市場の異常さを様々なメディアが取り上げるようになったことだ。なかでも注目なのは新聞のしかも一般紙が記事として取り上げた点だ。1月上旬の朝日新聞をはじめとして、6月にはなんと日本経済新聞にまでロレックスの記事が大きく掲載された。世界シェアが圧倒的なロレックスとはいえ、この状況は本来であればニッチな世界での出来事。それをこのように一般紙が扱うというのもこれまでとは明らかに違う。それだけ時計愛好家以外の人たちにまで注目されるようになったということなのだろう。
爆騰するロレックス市場、来年はどんな年になるのやら…。いずれにせよ早くコロナ禍が収束に向かい、本当にロレックスが好きな人が頑張れば買える、そんな時代がまた来てくれることを切に願いたい。