ロレックス 意外と知らない時計知識

Q13.ロレックスの3大発明のひとつ“パーペチュアル”。開発を迫られた大きな理由とは?【ロレックス編】

A.防水のオイスターケースを開発したが、ユーザーがリューズ操作を忘れてしまい、水が内部に入ってしまう問題が発生したため

 前回(Q.12)に引き続き、ロレックスが誇る3大発明について取り上げる。今回は腕時計の実用性を飛躍的に高めたパーペチュアルについてだ。

 前回は防水性を高めるのに成功した3大発明のひとつ、“オイスターケース”について解説したが、実は防水との戦いはこれで終了したわけではなかった。
 1920年代は手巻き時計の時代、リューズで常にゼンマイを巻く必要がある。つまり、水の侵入を防ぐには、ゼンマイを巻いた後にリューズを再びねじ込んで密閉状態にしないとならない。しかし、ユーザーがそれを忘れてしまい、水が内部に入るという問題が新たに浮上したからだ。

 そこで、手で巻き上げる作業を省いた腕時計の開発を迫られたロレックスは、20年代後半に入り本格的に自動巻きの開発に着手する。そして31年、腕時計として世界初となる、半円形のローターを360度回転させてゼンマイを巻き上げる革新的な自動巻き機構を開発し、初の自動巻きムーヴメントを発表。これはロレックス・パーペチュアルとして商標登録された。
 ちなみにローターとは、自動巻きの時計に使われる扇状のパーツで、回転錐とも呼ばれる。腕の振りにより回転し、ゼンマイが自動的に巻き上がる。リューズを操作せずとも時計は時を刻み続けることができるのだ。

以上の機構を、32年には“オート・ローター”として特許を申請、33年に取得(写真上)、同じく“ロレックス・パーペチュアル”を商標登録。現在もパーペチュアル機構が使われているモデルには必ず文字盤上に“PERPETUAL”と表示されている(写真下)

 360度全回転の片方向巻き上げ方式を採用したこのパーペチュアル機構は、ちょっとした腕の動きにも反応し、それまでの自動巻きの問題点として挙げられていた巻き上げ効率の悪さを見事に克服、防水に対する不安を軽減すると同時に、腕時計の実用性をさらに高めた画期的な発明となった。
 なお、防水ケースの“OYSTER(オイスター)”と自動巻き機構“PERPETUAL(パーペチュアル)”が採用された時計には必ずロレックスのブランドロゴとともに、文字盤上に“OYSTER PERPETUAL”と記載される。これは当時から今日までずっと変わらない。

 

文◎松本由紀(編集部)

 

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