ロレックス @kikuchiのいまどきの時計考

【ロレックス】通信 No.069|なぜロレックスは多くの支持を集めるのか?|四つの理由。其の一「デザイン」

 ロレックスの日本市場は、現在供給量が全体的に少ないため、正規販売店ではなかなか買えないと言われる。一方の並行輸入店ではどうか。こちらでは商品はあってもその実勢価格は定価をはるかに上回るプレミアム価格という、かつてない異常な状況だ。それでも高い支持を集めている理由はなんなのか。

 おそらくロレックスにあまり興味がない方は、この状況についてかなり不思議に思われるのではないか。そこで今回から4回にわたって、特にスポーツモデルを中心に、デザイン、品質、精度、そして市場価値の四つの視点から、ロレックスが支持される理由についてあらためて考えてみたいと思う。1回目の今回は「デザイン」について。

ずっと変わらないデザインと飽きのこないシンプルさ

エクスプローラー。右から第1世代、第3世代、そして現行の第6世代

 人気のスポーツモデルのほとんどは1950〜60年代に誕生したものばかりで、実のところ60年以上も長きにわたって販売が続けられている超ロングセラーなのである。しかも、その歴史の長さもさることながら、その基本デザインはほとんど変わっていない。

 ここに1953年と55年に誕生した現在も人気の高いエクスプローラー、サブマリーナー、そしてGMTマスターのファーストモデルと現在のモデルとを並べた写真を掲載したが、それぞれを比較してみると、もちろん現行モデルは現代的に進化しているものの、ファーストモデルから60年以上経ったいまも、その基本となるデザインはほとんど変わっていないことがわかる。つまり、それほど当時から完成されたデザインだったということが言えるのだ。

サブマリーナーとGMTマスター。どちらも右側がファーストモデルだ

 元来ロレックスは、実用時計をコンセプトに掲げてきた。そのためデザイン面でも「時間を知る」という時計本来の役割を常に重要視し、いかに見やすく扱いやすいかということを考えて作られている。そのため装飾的なものは一切なく至って作りはシンプルなのである。

 この実用面へのこだわりから生まれたシンプルさは、使用シーンの広さと着けやすさ、つまり日常での使い勝手の良さというメリットをもたらしたのである。全体の雰囲気がモノトーンでまとめられているため、たとえダイバーズモデルであっても悪目立ちすぎることはない。

 そのためカッチリめのスタイルに合わせたとしても見た目にはさほど違和感は感じないぐらいなのだ。だからと言ってどこでもOKということではないが、比較的に幅広いシーンで活用できることは確かで、この点もロレックス人気を大きく押し上げているのだ。

本来ダイバーズウオッチとして作られたサブマリーナーデイト。もちろんどこでもOKというわけではないが、シンプルゆえスーツタイルに合わせてもそれほど違和感は感じない

 扱いやすく飽きのこないシンプルなデザイン。そして、そこには何よりもずっと変わらない安心感もある。これこそがロレックスのデザイン面での大きなアドバンテージと言えるだろう。

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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