アンティーク時計 話題のトピックス @kikuchiのいまどきの時計考

【各10本限定】希少なオールドムーヴ搭載。デッドストックの手巻き時計を40〜50年代風にリビルドした最新作が10%0FF!

 筆者がプロデュースする時計ブランド“アウトライン”の最新作、初のムーンフェイズクロノグラフと角形時計がほぼ完成したためちょっと紹介させていただきたい。

 実はこれ新しくイチから製作したものではない。1980年代後半に日本で実際に販売されたもので、デッドストックとなっていたスイスメイドの手巻き式時計を、ムーヴメント(中の機械)とケースはそのまま活用して、文字盤や時分針のデザインだけを作り変えた、いわゆるリビルド品である。

 もともとのデザインはムーンフェイズクロノグラフ、角形時計ともに白文字盤をベースにしつつ、角形に至ってはノーインデックスタイプのデザインが採用されており80年代らしい極めてシンプルなものだった。ただいくら希少なデッドストック品といえども、時計はやはり顔が命。しかもデザインにはトレンドがあるため、単純にオーバーホールして整えただけでは評価は得られない。そのためデザインを1940〜50年代のアンティーク風にするべく、文字盤と針のデザインをまったくの別物にすべて作り直したというわけだ。

自分で実際に着けてみるとこんな感じ。ムーンフェイズにクロノグラフが付いた多機能モデルで36mm径という小振りなサイズは希少。しかもレザーベルトにはリザード(トカゲ革)を使用しぐっと大人っぽくシックに仕上げた

 今回のリビルドシリーズは全部で3種類。バルジュー社の手巻きクロノグラフキャリバー7768を搭載した“ムーンフェイズクロノグラフ7768”が1種類(上写真・左)、フォンテンメロン社の手巻きキャリバーFHF138を搭載した角形時計(同写真・右)が“レクタンギュラー138IV(アイボリー文字盤)” と“レクタンギュラー138BL(ブラック文字盤)”の2種だ。

 ムーヴメントはバルジュー社もフォンテンメロン社も1980年代のスイスにおけるムーヴメントメーカーの再編によってETA社に吸収されてしまったため現存していないが、アンティークの世界ではよく知られるスイスの歴史あるムーヴメントメーカーだ。

 そのひとつバルジュー社は時計好きなら誰もが知る1901年創業のクロノグラフムーヴメントの名門。手巻きのクロノグラフムーヴメントCal.72は1960年代のロレックスのデイトナに採用されたことは有名な話だ。7700シリーズの自動巻きCal.7750は、現在でもETA社の基幹クロノグラフムーヴメントとして存続し、様々なブランドの時計に採用されるほどとても優秀なムーヴメントである。

上がバルジュー社の手巻きCal.7768。下がフォンテンメロン社の手巻きCal.FHF138である。どちらも現在は生産終了したオールドムーヴメントだ。巻き上げ時のカリカリという音は当時の手巻きならではの味わいがある

 一方のフォンテンメロン社は、1793年創業と古く、1900年代初頭には年産1000万個、従業員数約1000人を抱える大手で、ムーヴメント専業メーカーとしてはかつて2番目の生産量を誇っていた。小振りな手巻きムーヴメントを得意とし、1940年代にはロレックスの手巻きモデルにも採用されていたほどで、その信頼性は高かったと言える。

 今回は、1980年代当時の未使用のデッドストック品ではあるが、これらの手巻きムーヴメントにおいてはそのまま使うのではなく、すべてオーバーホールを実施し、調整を行なったうえで組み上げられている。そのため30年以上経った製品ではあるものの、ムーヴメントについては1年保証が付くためご安心を。

 なお、このムーンフェイズクロノグラフと2種類の角形時計は、クラウドファンディングサイト“WATCH Makers(ウオッチメーカーズ)”で10月25日の午前0時から数量僅少ながら10%OFFにて先行申し込みの受け付けを開始する。

 前述したようにデッドストックのため全体の本数自体は各モデル20〜30本ほどとそれほど多くはない。そのため今回のクラウドファンディングではそのうちの各10本程度となる。

【ムーンフェイズクロノグラフ7768】

真鍮ケース(裏ブタはステンレススチール)。ケース径36mm。非防水。手巻き(Cal.Valjux7768)。写真は開発段階のもので実際には3時位置の表記が3段ではなく2段となる

 ムーンフェイズの扇形の小窓が下に向かって末広がりになる通常とは逆の仕様でしかも大きいのが特徴。ゴールドのアルファ針にアップライト仕様のローマンインデックスを合わせて1950年代風のデザインに仕上げた。

 30分積算計には、当時の積算カウンターに見られたテレホンユニットをさりげなく再現している。これはかつて電話料金が3分ごとに加算されたため、それを確認できるように3分ごとに目盛りが長くなっているというもので50年代当時のクロノグラフの多くが採用した。ケースは36mm径でしかも真鍮製のためアンティーククロノグラフの雰囲気が楽しめる。限定本数は17本で価格は24万2000円。

【レクタンギュラー138IV】

真鍮ケース(裏ブタはステンレススチール)。ケースサイズ24×31mm。非防水。手巻き(Cal.FHF138)

 丸みを帯びたシンプルなレクタンギュラーケースにワイヤーラグが施されたとても古典的なスタイルのため、ホワイト文字盤が少し経年変化したようなアイボリー系カラーを文字盤に採用。

 アップライト仕様のブレゲ風アラビア数字インデックスにはゴールドを採用し、1940年代風の落ち着いたデザインに仕上げた。限定本数は32本、そのうちシルバーは6本と僅少、ゴールドは26本だ。価格は11万円。

【レクタンギュラー138BL】

真鍮ケース(裏ブタはステンレススチール)。ケースサイズ23.5×37mm。非防水。手巻き(Cal.FHF138)

 ステップドタイプのケースに12時と6時位置にはさりげなくオーナメントがあしらわれている。このオーナメントは別体で取り付けられているなど凝った作りになっている点もポイントだ。

 ブラック文字盤に太めのアラビア数字インデックスと、1940年代のレクタンギュラータイプでは王道と言えるデザインを採用している。限定本数は33本。そのうちシルバーは15本、ゴールドは18本となる。価格は13万2000円。

※クラウドファンディングは終了しました。現在公式サイトで販売中!

OUTLINE公式サイト

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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