ダイバーズウオッチであるサブマリーナの上位機種として1220mもの防水性能を有した“シードゥエラー”は、2008年に、さらに上をいくハイスペック機“ディープシー”の登場によって、07年で生産を一旦終了した。なぜ“一旦”なのかというと、7年間のブランクを経て14年に再び復活したからである。それが今回取り上げるシードゥエラー4000というわけだ。
ディープシーが登場した08年頃といえば、リーマンショックが起こる前までは時計バブルと言われるほど、右肩上がりで活況を呈していた時代だ。そのため、当時は技術力の高さを誇示するかのようにハイスペックモデルが開発され、各社から驚くような機構を備えたモデルが続々と登場していた。
2008年に登場したシードゥエラー・ディープシー、Ref.126660
ダイバーズウオッチも然り、驚異的な防水能力を備えたモデルが出現するようになり、ダイバーズウオッチのパイオニアであるロレックスが誇る、シードゥエラーの1220m防水さえ、逆に物足りなさを感じるぐらいだった。
それに危機感を感じたのかは定かでないが、シードゥエラーの生産を打ち切り、代わりに3900m防水のモンスター級スペックを備えたディープシーを発表。機械式腕時計としては当時最強として一躍脚光を浴びた。
当然のごとく、ディープシーがシードゥエラーの後継機だと、恐らく誰もがそう思っていたに違いない。それが2014年にシードゥエラー4000という名で突如として復活したのである。
一説には、サブマリーナに比べてディープシーがオーバースペックすぎるため、もう少し売りやすい中間的な存在が欲しかったためではないかと言われている。
旧モデル(左・Ref.16600)よりもラグ部分の幅は太くなり確実に堅牢性が高められていることがわかる。ゼラミックベゼルになった以外は見た目的にはあまり変わっていない
事実、シードゥエラー4000の公式資料を見てもベゼルがセラミックになったぐらいで、そのほかは目立った新しい技術などは見当たらない。
しかも、ロレックスの新モデルと言えば、だいたいが秋以降のリリースで、早いものでも7月頃というのがいつものパターン。これに限っては、バーゼル発表から1カ月半後の、5月には日本ですでに流通していたことを考えると、先ほどの仮説もあながち間違いではなかったと言えるのかもしれない。
2017年にリニューアル登場を果たした現行のシードゥエラー、Ref.126600
さてこのシードゥエラー4000だが、初代シードゥエラーが誕生してから50年目の2017年になって現行のRef.126600にフルモデルチェンジされた。つまり、わずか3年という短命に終わったのだ。当然のごとく生産量は極めて少ないということになる。
当時の国内定価は102万6000円(消費税8%換算)。いまでも稀に新品が市場で見かけられるが、その実勢価格は200万円前後とさすがに高額だがユーズドだと安値で140万円台からあるようだ。一方、現行のRef.126600の実勢価格は160万円台半ばとなる。ちなみに旧モデルのRef.16600は90万円台から流通している。
<新旧スペック比較>
●シードゥエラー4000/Ref.116600
製造開始年:2014年(2016年終了)
素材:ステンレススチール(ケース&ブレス)、セラクロム(ベゼルリング)
ケース径:40mm(リューズを含まない)
防水性能:1220m
ムーヴメント:自動巻き(ブルー・パラクロム・ヒゲゼンマイ搭載Cal.3135)
国内定価:102万6000円(2017年生産終了時)
●シードゥエラー/Ref.16600
製造開始年:1986年(2007年終了)
素材:ステンレススチール(ケース&ブレス)、アルミニウム(ベゼルリング)
ケース径:40mm(リューズを含まない)
防水性能:1220m ムーヴメント:自動巻き(Cal.3135)
国内定価:60万9000円(2007年生産終了時)
●シードゥエラー/Ref.126600
製造開始年:2017年
素材:ステンレススチール(ケース&ブレス)、セラクロム(ベゼルリング)
ケース径:43mm(リューズを含まない)
防水性能:1220m ムーヴメント:自動巻き(ブルー・パラクロム・ヒゲゼンマイ&パラフレックス ショック・アブソーバー採用Cal.3235)
国内定価:123万900円
●ディープシー/Ref.126660
製造開始年:2008年(2018年にマイナーチェンジ)
素材:ステンレススチール(ケース&ブレス)、セラクロム(ベゼルリング)
ケース径:44mm(リューズを含まない)
防水性能:3900m ムーヴメント:自動巻き(ブルー・パラクロム・ヒゲゼンマイ&パラフレックス ショック・アブソーバー採用Cal.3235)
国内定価:133万1000円