ロレックス @kikuchiのいまどきの時計考

【ロレックス】通信 No.035|筆者も気になっているデイデイトのバークモデルとは!

 新型コロナウイルスの感染拡大をめぐる不安から、安全な金融資産としての“金”に再び注目が集まっているようだが、ロレックスでそんな金をふんだんに使ったモデルとして真っ先に浮かぶものといったら、やはりドレス系プレステージラインとして知られるデイデイトだろうか。ということで、今回のロレックス通信は、筆者がいま気になっている“デイデイト”の話題について取り上げたいと思う。

 さて個人的なことで恐縮だが、筆者は時計を選ぶ際にデザインや作りはもちろんだが、加えてもうひとつ、これだけはぜったいに外せないという自分なりの基準がある。それは時計の大きさだ。

「なんだそんなことか」と思われるかもしれないが、筆者の場合はかなり手首が細く貧弱なため、フェイスが大きいと手首の実際の幅よりもはみ出してしまい、そのうえラグと手首の間に隙間ができることでまったく安定せず、時計がぶら下がったように見えて、かなりトホホな感じになる。

 したがって、自分ではジャストサイズを36mm径。最大値を39mmと勝手に決めている。

 しかし、このようにサイズにこだわってしまうと、意外なところに弊害が出てくる。それはこの条件を満たす時計が現行モデルに極めて少ないということだ。

 そんな筆者がいまひそかに狙っているのがデイデイトなのである。実のところ、金ケースの時計は所有しているが、ブレスレットまでフルゴールドというものは持っておらず、36mm径とジャストサイズということもあって以前から気にはなっていたもののひとつだった。

筆者が気になっているのこのバーク仕様だ。Ref.18248。K18YG(36mm径)。100m防水。自動巻き(Cal.3155)

 ただ、デイデイトといっても現行モデルではない。型番(レファレンス)が5桁時代の個体なのである。現行もいまだに同じ36mm径(近年は40mmモデルも追加された)だし、性能などあらゆる面で優っていることはわかっているが、なぜあえて旧型かというと、もちろん実勢価格300万円台半ばというこの金銭的な部分も大きいのだが、加えて現行は同じサイズであってもケースやブレスが肉厚で着けたときにどうもしっくりこないというのも大きな理由だ。

 さらに言うならば5桁でも1989年頃から展開された第4世代(型番が182から始まる)と決めている。搭載するCal.3155は3000系ムーヴメントの完成形だし、同じ5桁で型番が180から始まる第3世代(1978〜80年代後半の生産でムーヴメントも旧型のCal.3055)よりもケースが若干スマートになっているからだ。

 そして望むのはズバリ“Ref.18248”。つまりベゼルとブレスの中ゴマに通称“バーク”という仕上げが施された個体だ。このバーク仕上げとは、細かく深い筋目を入れた装飾で、その見た目が樹皮のようなことからこのように呼ばれるようになった。

通常モデルのように中コマが鏡面だとギラギラ感はどうしても出てしまうが、このバーク(樹皮のような)仕上げが施されただけでも随分とそれが抑えられ、印象も変わる

 通常モデルのブレスレットの中コマは鏡面なのだが、このバーク仕様のタイプはその装飾のおかげでブレスレットのギラギラ感が多少は薄れる。しかもブレスを革ベルト、例えばヴィンテージ調のものや色味をボルドー系のものをチョイスして付け替えれば、きっとベゼルのバーク仕上げが強調され、古典的な雰囲気でグッと落ち着いた印象になる。金ブレスだとさすがにちょっと…、という人でも、見た目もさることながらコーディネイト的にもハードルは多少下がり楽しめるに違いない。

 とは言え、イエローゴールドのブレスモデルは、たとえバーク仕様だとしても、やはり使用シーンはかなり限定されるし、イメージ的に抵抗を感じる人は少なくない。ただ筆者もそうだが、ある程度の年齢を重ねて、もしゆるされる環境があるのであれば、ファッションとして楽しむのも一考ではないかと思う。ステンレス系モデルが高騰するいま、一度、今回取り上げたデイデイトに限らず、ロレックスのフルゴールドモデルに目を向けてみてはいかがだろうか。

 実勢価格は、トップの写真の個体のように文字盤にマホガニーウッドという、高級家具などに使用されるウッド素材を使った珍しい代物だとその希少性から200万円オーバーだったりするが、筆者が狙っているシンプルなバーインデックスで、シルバーやシャンパンなどのベーシックな文字盤タイプであれば、コンデションがそこそこのもので150万円ぐらいからといったところである。

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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