ディーゼルの時計はサイズ感や素材、文字盤、全体のフォルムまでインパクト満点。お気に入りは全体が赤いラバーボディのモデル
圧倒的なキャラクターと巧みな演技で、見る者に強烈な印象を残す池田鉄洋さんがチョイスする時計はディーゼルだった。
「本当に時計好きな方はもっと高価な機械式時計を使うんでしょうし、僕もまったく興味がないわけではないんですが、とりあえずいまのところはこれで事足りる感じです。ディーゼルを選んでいる理由はインパクト勝負というか、大きくて存在感があるってことですね。舞台上で小道具として使うこともあるんですが、そんなときもしっかり存在感を出してくれるし、ふだん人前に出るときもなんとなく安心感があるんです。ディーゼルの服も好きですが、時計、バッグやベルトなどの小物類は特に好きですね。ちょっと大げさなくらいゴツい感じがあって、そこが自分の好みにマッチしているんですよね」
自身のキャラクターに負けない時計という意味で、いろいろ探した果てに出会ったのが、デザイン性が強く大振りなディーゼルだったというわけだ。何本か所有しているが、最近のお気に入りは赤いモデルだ。高価な時計に興味がないわけではないが、実際にそれを使わないというのは、やはり池田さんが生粋の劇団俳優だからという理由がある。
「テレビや映画の仕事もしていますが、やはり自分の活動の基盤はいまでも劇団にあります。劇団というのはご多分に漏れず貧乏ですから(笑)、僕も主宰者ではありますがいまだに大道具の仕込みなどもやるわけです。いわゆるガチ袋を腰にぶら下げて、トンカチ持って力仕事をするっていうのは、学生時代からずっと付いて回ってきたもので、自分にとってはまったく違和感ないことなんですね。でも、そのときにやはり高価な金無垢の時計は身につけていられないわけですよ。『もしこれをどこかにぶつけて傷つけたらどうしよう』なんて考えながら作業するのは煩わしいですし、実際に傷ついたら困りますから。舞台の床に敷く重い平台なんか運んでいるとき、壁にガリッと擦ったりするんですよ。ディーゼルくらいの値段だったら、少々の傷がついても味のうちだと思えますけどね。劇団の仕込みや練習のときは本当に汚いジャージ姿でいることが多いですし、そんな格好でずっと過ごしていると、どんどんまともな俗世間とかけ離れていくような気がして不安になるんですが、そんなときもこのディーゼルが腕にあると少しだけ安心するんです。たとえジャージ姿であっても、多少のファッション性を腕で主張できるわけで、そこで辛うじて社会と繋がっているような気分になれる(笑)」
池田さんにとって時計とは、舞台という仮想空間と現実を繋ぐためのツールなのだ。
TETSUHIRO IKEDA 1970年10月31日、東京都生まれ。学生時代から演劇活動に関わり、93年に国学院大学OBで創設された劇団「猫のホテル」に参加。90年代後半からは映画やテレビドラマなどでも活躍するようになり、ドラマ「ストロベリーナイト」「医龍」、映画「TRICK」「行け! 男子高校演劇部」など多くの作品に出演。