【日本でも公開されるのか!?】機械式時計をテーマにしたドキュメンタリー映画『Keeper Of Time』に注目

》機械式時計をテーマにした、異色のドキュメンタリー映画が完成

 昨今、映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」の興行収入が歴代興行収入ランキングを更新するかどうかが注目されているが、今回紹介するのは、“鬼”ではなくて“機械式時計”をテーマにした映画。ニューヨークを拠点に活動するマイケル・クリバ(Michael Culyba)監督による、2021年冬公開予定の機械式時計のドキュメンタリー映画、『Keeper Of Time』だ。

 ニューヨークを拠点に活動するドキュメンタリー映画編集者、マイケル・クリバが制作、監督したドキュメンタリー映画で、時計学の歴史、機械式時計製造、そして時間の概念などを理論的にも生理学的に渡った内容になっている。

 マイケル・クリバは子供の頃から時計に魅了され、7歳の誕生日プレゼントにもらったカシオの時計を皮切りに高校時代にはスウォッチを身につけ、大人になって初めての機械式時計を購入し、彼のライフスタイルには常に腕時計があった。機械式時計に魅了された彼は、時計を作り出す技術と職人技、そして時計学の歴史への興味とともに、大人となってから自身初の最初のドキュメンタリー映画『Keeper Of Time』を製作することになる。

 2018年2月から撮影は始まり、スイス・ジュネーブ、イギリス・ロンドン・アメリカ・ワシントンD.C.やニューヨークなど、世界中を飛び回った。 18年10月、マイケルと制作チームはクラウドファンディングの最大手、Kickstarter キャンペーンを開始し、映画公開までの資金を1ヶ月間で115,000ドル(約1,100万円)以上を調達し、見事に機械式時計をテーマにしたドキュメンタリー映画を完成させたのだ。

 時計コンサルタントで『Keeper Of Time』への寄稿者でもある、ニコラス・マヌーソスは機械式腕時計の本質を 「工学の授業、歴史の授業、美しい絵画の中にある。 このような特性を一度にすべて備えた物体は世の中にはあまりない」と捉えている。

 本編では独立系時計メーカーの象徴的な存在として、数人の時計職人をフォーカスしており、日本にも熱狂的な愛好家がいるスイスの伝説的な独立時計師、フィリップ・デュフォーをはじめ、アートウォッチメイキングについての貴重なインタビューを見ることができる。

 例えば、マルセイユ生まれの時計師フランソワ・ポール・ジュルヌ。彼は、1976年にパリの時計学校を卒業し、99年にジュネーヴに拠点を置く高級時計ブランド“F.P.Journe”を設立した現代を代表する時計師のひとりだが、映画のなかで、共振原理に従い、2つのバランスホイールが振動し、世界で唯一の共振現象を特徴とする“レゾナンス”の解説や、その時計哲学に触れている。

 マンチェスター出身のロジャー・W・スミスも面白い。マンチェスターの時計学校で時計製造を学び、英国の時計師、ジョージ・ダニエルズ(1974年に同軸脱進機を発明し、オメガが99年に採用したことでも有名)に多大な影響を受けたスミスは、2001年に自身のショップを設立する前にマン島のラムゼーにある、ジョージ・ダニエルズのアトリエで数年間、仕事を経験。

 その後、 ロジャー・W・スミスと彼のチームは、マン島のアトリエで、自動工具を使わずに原材料から全ての部品を製造する、 “ダニエルズメソッド “に則り、見事な手作業の時計を制作しているのだ。年間12本しか生産されない というR.W.スミスの時計は、シンプルなスモールセコンドながら、1本が1000万円以上の価値をもつ。

 伝説的な時計師以外にもハリー・ウィンストンのCEOであり、時計ブランドのMB&F(エムビー・アンド・エフ)の創設者でもあるマキシミリアン・ブッサー。オーデマ・ピゲの複雑機構部門の責任者であるマイケル・フリードマン。ヴィンテージ時計の有名なコレクターである、ウィリアム・マッセナとエリック・クー。さらに、分子生物学、量子物理学、哲学の学者などによる時間の概念についての解説も収録されている。

 効率重視、マーケティング重視のウオッチメイキングが主流となった近年の高級時計。オートメーション化により工業製品としての品質が高められたのは確かだが、その反面で、商業的な効率とは別のベクトルで生み出される芸術品ともいえる高級腕時計が目に留まる機会が減っているのも事実だろう。

 『Keeper Of Time』の日本公開は未定だが、このドキュメンタリー映画によって伝統的な腕時計の魅力が再び注目されることを夢想しつつ、日本での上映を期待をしたい。

『Keeper Of Time』公式サイト
https://www.keeperoftimemovie.com


文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。

https://www.instagram.com/spherebranding/

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