新素材の開発などにより急激にスペックとラインナップを増やしているロングパワーリザーブモデル。今回は70時間以上の駆動時間を実現したロングパワーリザーブウオッチから、おすすめモデルを厳選して紹介。
休日を挟んでも巻き上げなしで着けられる“ロングパワリザ”モデル
近年、非磁性素材の採用により急激な進化を遂げている耐磁性能だが、もうひとつ高級時計界で必須項目になりつつあるのがロングパワーリザーブだ。かつては42時間前後がベンチマークとなっていたが、現在の基準で言えば、70時間パワーリザーブは欲しいところだろう。
70時間と言われてもあまりピンと来ないかもしれないが、たとえば日常生活に当てはめるならば、月曜日から金曜日までビジネスシーンで着用して、土曜日、日曜日に時計を外して過ごしていても、仕事が始まる月曜日に巻き上げなしで動き続けているだけのパワーリザーブということだ。
次世代の旗艦ムーヴメントであるCal・3235を搭載したロレックスのデイトジャストなどがその代表格といえるが、今回はエントリークラスといえる30万円以下から、100時間という驚異的なロングパワーリザーブを備えたハイエンドモデルまで、語りどころのある三つのモデルを厳選してみた。
》編集部のおすすめモデル-其の1
BALL WATCH(ボール ウォッチ)
トレインマスター マニュファクチュア80
2018年にリリースされて好評を博した世界限定1000本モデル、エンジニアM チャレンジャーに搭載されていた自社製ムーヴメント、Cal.RRM7309-Cを採用したトレインマスターの新機軸。自発光マイクロ・ガスライト、耐衝撃性能、耐傷性の高いサファイアガラスなど、ボール ウォッチのシンボリックな機能に加え、自社製のCal. RRM7309-C により、80時間の実用的なパワーリザーブとCOSC認定クロノメーターの高精度を備えている。
■Ref. NM3280C-S1CJ-BK。SS(40mm径)。50m防水。自動巻き(自社製Cal. RRM7309-C)。29万1500円
80時間パワーリザーブとCOSC認定の精度を両立
ベースのムーヴメントには、歴史が深く信頼性が高いETA2824-2を採用。パワーリザーブを約80時間までスペックアップするための独自改良を施し、ETA2824-2の14型サイズに合わせた大型ローターを新たに開発してゼンマイの巻き上げ効率を向上させた。また地板・香箱・ゼンマイのサイズアップや、輪列受けの位置を調整することで、継続的に高い精度を持続するハイビート仕様のまま、3日間を余裕で越える約80時間ものパワーリザーブを実現。
【問い合わせ先】
ボール ウォッチ・ジャパン(TEL.03-3221-7807)
公式サイト:https://www.ballwatch.com/global/jp/home.html
》編集部のおすすめモデル-其の2
GRAND SEIKO(グランドセイコー)
SBGR315
キャリバー9S6系を搭載したヘリテージコレクションの40mmモデル。高級感を醸すサンレイダイアルには、カレンダー枠の外側までしっかりと配置された力強く視認性の高いインデックスを配置し、グランドセイコーらしい均整の取れた意匠に仕上げられている。
■SS(40mm径)。日常生活強化防水(10気圧)。自動巻き(Cal.9S65)。52万8000円
72時間パワーリザーブを備えた名機を搭載
素材の見直しを行った最新のひヒゲゼンマイ、精密加工技術であるMEMS(メムス)で製作された脱進機により、精度の安定性を向上。静的精度で平均日差+5秒~-3秒を実現し、抜群の実用性を備える。
【問い合わせ先】
セイコーウオッチお客様相談室(TEL.0120-061-012)
公式サイト:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/collections/sbgr315
》編集部のおすすめモデル-其の3
GLASHÜTTE ORIGINAL(グラスヒュッテ・オリジナル)
セネタ・エクセレンス・パノラマデイト
1の位と10の位、それぞれの表示ディスクを同心かつ水平に設置したパノラマデイト機構を4時と5時の間に備えたグラスヒュッテ・オリジナルの旗艦ライン。クラシックで優美な意匠、高品質な作りに加え、視認性の高さと100時間のロングパワーリザーブも大きな魅力となっている。
■Ref.1-36-03-01-02-50。SS(40 mm径)。5気圧防水。自動巻き(Cal. 36-03)。121万円
脅威的な100時間パワーリザーブを実現
21金ローターが目を引く、自社製の自動巻きムーヴメント、Cal.36-03。100時間パワーリザーブに加え、ヒゲゼンマイにシリコンを採用することで安定した精度を備えている。
【問い合わせ先】
グラスヒュッテ・オリジナル ブティック銀座(TEL.03-6254-7266)
公式サイト:https://www.glashuette-original.com/ja
文◎船平卓馬(編集部)