先日、モナコ50周年を祝うグランドフィナーレとして製作された、世界にただひとつしかない特別なモナコ“モナコ ピース ダート”を紹介した。本作は、1点モノの、まさに隠し球と呼ぶにふさわしい逸品ではあったが、誰もが手にできるモデルではなかったのが残念なところ。
しかし、最後の最後、アニバーサリーイヤーのラストを飾るモデルとして、TAG HEUER(タグ・ホイヤー)が二つの新作モナコを発表した。
この度発表された二つの新作モナコは、その人気ぶりから完売続きのモナコ 50thコレクションを購入することができずに悔しい思いをしていたファンにとっては福音となる、注目のモデルと言えよう。
さて、その二つの新作というのが、モナコ キャリバー ホイヤー02 クロノグラフ、そしてモナコ キャリバー12 クロノグラフ ファイナルエディションである。同時に発表された2モデルだが、それぞれ異なる特徴をもった新作となっている。
では、それぞれどんな特徴をもっているのか紹介しよう。
まずは、モナコ キャリバー ホイヤー02 クロノグラフ。
本作はタグ・ホイヤーが開発した自社製自動巻きクロノグラフムーヴメント“キャリバー ホイヤー02”を搭載したモナコだ。
キャリバー ホイヤー02を搭載したモデルには、これまでタグ・ホイヤーのフラッグシップたるモダンなカレラ“タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー02 クロノグラフ”、そして名作オータヴィアのデザインにインスピレーションを得た“オータヴィア キャリバー ホイヤー02 クロノグラフ”があった。意外かもしれないが、モナココレクションではこれが初搭載となる。
ムーヴメントの魅力もさることながら、そのデザインも見逃せない。
本作は、名優スティーブ・マックイーンが映画「栄光のル・マン(1971年)」の中で着用したことで注目を集め、モナコのなかでも最も人気のカラーリングである華やかなブルーサンレイ文字盤を採用し、 赤をアクセントカラーでスポーティなデザインを際立たせたモデルとなっている。
また、3時位置(30分積算計)と9時位置(12時間積算計)のクロノグラフカウンターにはシルバーオパーリン仕上げを採用する一方、6時位置のスモールセコンドをあえてシンプルにすることで、3カウンタークロノグラフでありながら、一見レトロな二つ目仕様のように見えるデザインに仕上げられた。
TAG HEUER(タグ・ホイヤー)
モナコ キャリバー ホイヤー02 クロノグラフ
コラムホイールと垂直クラッチを採用した、自社製自動巻きクロノグラフ“キャリバー ホイヤー02”を搭載する初のモナコ。約80時間というロングパワーリザーブも実現した最新鋭モデルにふさわしい優れたスペックを備える。
■Ref.CBL2111.FC6453。SS(39mmサイズ)。100m(10気圧)防水。自動巻き(Cal.ホイヤー02)。70万4000円
そして、もうひとつの新作が、モナコ キャリバー12 クロノグラフ ファイナルエディション。
こちらはモデル名が物語っているが、これまでモナコのムーヴメントとして用いられてきた“キャリバー12”を搭載する最後のモデルとなっている。
キャリバー12は、初代モナコに搭載された自動巻きクロノグラフである“クロノマティック”ことキャリバー11の後継として1972年にリリースされた第2世代のクロノマティックに与えられたキャリバーナンバーだが、ここでいうキャリバー12とは、97年にリバイバルモデルとして登場以降の、より正確に言えば2008年に登場した現行モナコに搭載されているデュボア・デブラ製のクロノグラフモジュールを持つ現代版のムーヴメントのことである。
なお、タグ・ホイヤーでは、09年にはキャリバー11の名をもつムーヴメントも開発。右リューズのタイプがキャリバー12で、初代モナコと同じ左リューズのタイプのモデルにキャリバー11が搭載される。
現代版キャリバー12は、言わば確固たる人気を得るに至った現代版モナコを支えてきた重要なムーヴメント。そんなキャリバー12を搭載する最後のエディションとなる。
モナコ キャリバー12 クロノグラフ ファイナルエディションは、先に紹介したモナコ キャリバー ホイヤー02 クロノグラフとは異なり、世界限定1000本のモデルのため、ケースバックに“ONE OF 1000”の文字が刻印される。
TAG HEUER(タグ・ホイヤー)
モナコ キャリバー12 クロノグラフ ファイナルエディション
現代版キャリバー12を搭載する最後のモナコ。バーティカルサテン仕上げのグレー文字盤にブラックのインダイヤルとブラックアリゲータベルトを合わせたシックなデザインを採用。
■Ref.CAW211J.FC6476。SS(39mmサイズ)。100m(10気圧)防水。自動巻き(Cal.12)。世界限定1000本。70万4000円
なお、どちらも価格は税込みで70万4000円。かたや最新鋭のムーヴメントを搭載したハイスペックモデル、かたや人気を支えた実力派ムーヴメントを搭載する最後のモデル。
実に悩ましい選択だ。
文◎佐藤杏輔(編集部)
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