本物の20ドル金貨に超薄型ムーヴメントを収めたコインウオッチ(1964年)や本物の鳥の羽を世界で初めて文字盤に使用したフェザーウオッチ(70年)、そして拡大鏡にもなるほど分厚い11mmのサファイヤクリスタル風防を採用したバブル(2000年)など、一目でどこのブランドわかる、独自性の高い名作を数多く生み出してきたコルム。
そんなコルムから、新たに斬新な時計が登場した。それが同ブランドが新しいマーケットを開拓するために満を持して発表した、ヘリテージ コルム ラボ01と名付けられたモデルだ。
特徴は何と言っても、DLC加工を施した“ダマスカス鋼”のトノーケースを採用している点。
ダマスカス鋼とは木目状の模様を特徴とする鋼のことで、古代インドで開発されたるつぼ鋼であるウーツ鋼の別称。その名はシリアのダマスカスの地で製造されていた刀剣などの製品に、このウーツ鋼が用いられていたことに由来する。
ただ、本来のダマスカス鋼は現在、その製法が失われてしまったロストテクノロジーのひとつ。
そのため、現代のダマスカス鋼は異種の金属を積層、鍛造することで、ウーツ鋼を鍛造したときに現れるものと似た縞模様を表面に浮かび上がらせた鋼材のことで、素材をモザイク状に組み合わせることで独特の模様を浮かび上がらせることができる。新作に使用されているのも、現代のダマスカス鋼だ。
新作のヘリテージ コルム ラボ01では、ダマスカス鋼のケースを採用しつつ、ケースサイドに文字盤にも採用されているライムグリーンカラーのラバーが組込まれているほか、文字盤の7・8時位置にはブランドのロゴマークである“空を指す鍵”がレイアウトされており、手首の動きに合わせて回転するユニークな仕様となっている。
いかにもコルムらしいアヴァンギャルドなモデルだが、ケースはカーブしており、見た目の印象に反してフィット感は良好だ。
その目を引く斬新なデザインやスタイルも特徴だが、ムーヴメントも見どころ。ゼンマイの巻き上げ効率を高めるために重いタングステン製のマイクロ・ローターを持つオリジナルの自動巻きムーヴメントを搭載している。
新作は世界限定99本と希少なモデルに加え、264万円(税込)とかなり高額なモデルとなっているが、コルムらしい新作と言えよう。ちなみに、日本への入荷予定本数はたったの数本になるとのこと。どんな人が手にするのだろうか。
CORUM コルム
ヘリテージ コルム ラボ 01
Ref.Z410/03954。ダマスカス鋼製(DLC加工。39.89×55mmサイズ)。自動巻き(Cal.CO410)。世界限定99本。264万円(税込)
文◎佐藤杏輔(編集部)
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コルム 公式サイト
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